雨水|雪どけ水が自然と川へ流れ出し、雛が縁を運ぶように

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雨水(うすい)|2月19日〜3月4日頃

空から降るものが雪から雨へと変わり、凍てついた大地がしっとりと緩み始める「雨水」。この季節、自然界では万物が「外」へと向かう準備を始めます。実は、私たちの心もまた、この自然のサイクルと無関係ではありません。

古来より、この雨水の時期に雛人形を飾ると「良縁に恵まれる」と言い伝えられてきました。雛人形にはもともと、身代わりとなって厄を払う「流し雛」の風習があり、水が豊かになるこの時期に飾ることで、清らかな流れとともに新たな縁を呼び込むとされたのです。

石田梅岩は、人の心には「天理」という自然の摂理が備わっていると説きました。「春になれば花を愛で、暖かくなれば外に出たくなるのが人間の自然な心(まこと)である」と考え、その動きを肯定したのです。スモールビジネスの現場でも、ついつい「どう売るか」という手法に走り、冬の固い土を無理に掘り起こそうとしてしまいがちです。しかし、大切なのは、顧客の心が「冬の閉鎖的なモード」から「春の開放的なモード」へどう変化したかを、静かに観察することではないでしょうか。

自らの私心を抑え、相手の心の「うごき」をありのままに見つめること。それもまた、自分を律する「倹約」のひとつの形です。強引な押し売りではなく、雪どけ水が自然と川へ流れ出し、雛が縁を運ぶように、顧客の「やってみたい」という自然な情を引き出せる存在でありたいものです。

雨水が土を潤し、やがて景色を鮮やかに変えていくように。誠実な観察から生まれる商いが、誰かの心を温かく解きほぐし、素晴らしいビジネスのご縁へと繋がっていく。そんな静かで力強い循環のなかに、身を置くことのできる自分でありたいものです。

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石田梅岩(いしだ ばいがん)とは

1685年〜1744年。江戸時代中期の思想家。石門心学(せきもんしんがく)の開祖。

丹波国(現在の京都府)の農家に生まれ、京都の商家に奉公する。独学で儒教・仏教・神道を学び、45歳で私塾を開講。 「学問とは心を尽くし知を知るためのもの」とし、日常生活における実践道徳を説いた。特に商人の営利活動を「士農工商」の枠組みを超えて肯定し、「正直」「倹約」の重要性を強調。その思想は「先義後利」「三方よし」の源流とも言われ、現代の経営倫理の先駆けとして評価が高い。

庶民に対し平易な言葉で道徳を説く講釈(道話)を行い、性別や身分を問わず広く門徒を集めた。主著に『都鄙問答(とひもんどう)』がある。

2020年6月に創設された、経営者(個人事業主や会社役員を含む)のためのビジネス交流会「梅岩塾」八咫烏支部のサブマネージャーをしています。このような「商売の本質」を一人で考えるだけでなく、現代のビジネスにどう活かすかを共に語り合う場があります。私自身も運営に携わっている「梅岩塾」での活動についても、ぜひ知っていただければ幸いです。どなたでもゲスト参加できます。
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この記事を書いた人

甲田 和美のアバター 甲田 和美 代表取締役

株式会社東京コンテンツヒット代表取締役
中小企業や起業家さんが自分で発信できるブログつきのサイトをWordPressで制作しています。

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