第11候:春分次候/櫻始開(さくらはじめてひらく)|3月25日〜3月29日頃
いよいよ各地で桜の便りが届き始めました。七十二候では「櫻始開(さくらはじめてひらく)」、文字通り桜の花がほころび始める季節です。厳しい冬の寒さを乗り越え、蓄えてきたエネルギーを一気に解き放つその姿は、私たちの心に新しい希望を運んでくれます。
この美しい開花の裏側には、人知れず準備を続けてきた蕾の時期があります。スモールビジネスの現場でも、新しい企画が日の目を見たり、努力が成果として現れたりする瞬間は華やかなものですが、大切なのはそこに至るまでの「蕾の育て方」ではないでしょうか。石田梅岩が説いた「勤勉」とは、結果だけを急ぐのではなく、日々の仕事そのものを「道」として捉え、一つひとつを丁寧に、真心を込めて取り組むことです。
梅岩は「実の商人は、先も立ち、我も立つことを思うなり」という言葉を残しました。桜が周囲を明るく照らし、道行く人を喜ばせながら自らも美しく咲き誇るように、私たちのビジネスも「三方よし」の精神でありたいものです。自分たちの利益だけを追い求めるのではなく、仲間が喜び、お客様が喜び、そして社会が少しだけ良くなる。そんな誠実な積み重ねこそが、信頼という名の揺るぎない花を咲かせるための栄養となります。
年度末の忙しさに追われる時期ではありますが、ふと足を止めて桜の蕾を見上げてみてください。皆様がこれまで真摯に向き合ってきた仕事が、春の陽光に導かれるように、美しく、そして力強く花開いていくことを願っております。

