第10候:春分初候/雀始巣(すずめはじめてすくう)|3月20日〜3月24日頃
春分を迎え、昼と夜の長さがほぼ同じになる頃。七十二候では「雀始巣(すずめはじめてすくう)」の季節に入ります。すずめたちが枯れ草や藁、羽毛などをくわえ、軒下などにせっせと巣を作り始める情景です。春に生まれる新しい命を育むための、小さくも温かい居場所づくりの季節と言えます。
ビジネスやチーム運営においても、この「巣作り」に似た時期があります。新しい企画を立ち上げる時や、新しい仲間を迎える時、いきなり立派なハコ(器)や完璧な仕組みを用意しようとするのではなく、まずは今ある環境を整え、皆が安心して羽を休められる基盤を作ることが大切です。
石田梅岩は、商いにおける大切な心構えの一つとして「倹約」を説きました。これは単に出費を切り詰めてケチになることではなく、手元にあるものを最大限に活かし、無駄なく使い切るという「始末(物を生かす心)」のことです。すずめが遠くへ行かずとも、身近にある小枝や枯れ草を拾い集めて立派な巣を作るように。スモールビジネスも、今ある限られた資金や機材、そして身近なご縁を丁寧に編み合わせることで、雨風をしのげる丈夫な土台を作ることができます。
大げさな設備や見栄えがなくても、真心を込めて整えられた環境には自然と人が集まり、新しいアイデアが健やかに育ちます。身の回りにある小さな価値を見落とさず、一つひとつ丁寧に組み合わせながら、関わる人にとって居心地の良い「巣(居場所)」を築いていきたいものです。

