第6候:雨水末候/霞始靆(かすみはじめてたなびく) 2月24日〜2月28日頃
「最近、なんだか先が見えづらいな」
そんなふうに感じたことはありませんか? 新しい企画を練っている最中や、環境が大きく変わる節目。何を優先すべきか、どの道へ進むべきか。ふと視界がぼやけ、焦りを感じる瞬間は、スモールビジネスを営む私たちにとって、決して珍しいことではありません。
しかし、その「ぼんやりとした不安」は、実は悪いことばかりではありません。山野の景色がうっすらと漂う霧や霞によって柔らかな表情を見せ始める今の時期。万物が潤いを帯びて景色がたなびく様子は、春の確かな訪れを準備する大切な時間でもあるのです。
こうした視界が不透明な時こそ、石田梅岩が重んじた「正直」という心に立ち返ってみたいものです。小手先のテクニックで無理に霧を払おうと力むのではなく、目の前のお客様や仲間にどれだけ誠実に向き合えるか。その一点こそが、足元の地場を固めます。「先義後利」、つまり人としての義理を優先し、誠を尽くす姿勢を貫けば、やがて霞が晴れるように、ふさわしい成果は自然とついてくるものです。
七十二候では、この時期を「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」と呼び、二十四節気「雨水」の終わりを告げる候とされています。
予測不能な時代であっても、無理に遠くを見通そうと焦らず、まずは今できる丁寧な仕事を積み重ねていきたい。春の暖かな日差しが景色を鮮やかに彩るように、私たちの誠実な歩みが、関わるすべての人に豊かな実りをもたらす一助となりますように。そう願わずにはいられないのです。

