第9候:啓蟄末候/菜虫化蝶(なむしちょうとなる)|3月15日〜3月19日頃
春の陽射しが日に日に温かさを増す頃、「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」の季節を迎えます。厳しい冬の間、葉っぱの陰でじっと身を潜め、ひたすらに青葉を食べて育った青虫(菜虫)たちが、さなぎを経て美しい紋白蝶へと羽化し、春の空へと軽やかに舞い上がっていく情景を表しています。
ビジネスや企画は、最初から華やかに空を舞っているわけではありません。新しいサービスを生み出そうとする時や、チームで何かを成し遂げようとする時、そこには必ず「青虫」のように地道で、時には泥臭い準備期間が存在します。目に見える成果がすぐに出ない時期は焦りを感じるものですが、その期間にどれだけ質の高い経験や信頼を蓄えられたかが、後の飛躍を決めるのではないでしょうか。
石田梅岩の心学を読み解くと、そこには「一つひとつを丁寧に、真心こめて」という教えが底流に流れています。目の前のささやかな仕事や、お客様との何気ないやり取りをおろそかにせず、心を込めて向き合うこと。その一つひとつの誠実な積み重ねこそが、やがて次のステージへと押し上げる「羽」を育んでくれるのだと思います。
さなぎの中で劇的な変化を遂げ、新しい姿で広い世界へ飛び出していく蝶たち。変化を恐れず、日々の丁寧な仕事の積み重ねを信じて歩みを進めたいものです。その誠実な歩みが、いつか軽やかな羽ばたきへと変わり、社会に心地よい風を届ける存在になれれば幸いです。

