第72候:鶏始乳(にわとり はじめて とやにつく)|1月30日〜2月3日頃
暦はいよいよ、一年を締めくくる七十二候の最後の一節、「鶏始乳」を迎えました。文字通り、鶏が春の気配を察して鳥屋(とや)にこもり、卵を抱き始める頃を指します。外は万物が凍てつく大寒の極みですが、その静寂のなかで、次の季節に向けた「命の準備」が始まっているのです。
特にこの時期に産み落とされる「大寒玉子」は、厳しい寒さを乗り越えるための栄養が凝縮された縁起物。冷たい空気の中でエネルギーを内側に溜め込むその姿は、私たちスモールビジネスの営みにも重なります。成果が目に見えにくい冬の時期に、どれだけ深く、熱く、自分の企画やチームの想いを温めてこられたか。その「密度の濃さ」が、春以降の飛躍を左右します。
石田梅岩が説いた「正直」の心とは、自分たちの仕事が本当にお客さまの喜びにつながっているか、一点の曇りもなく自問することです。そして、限られた資源や時間を無駄にせず、知恵を絞って価値を高める「倹約」の精神。このひたむきな「勤勉」さこそが、大寒玉子が持つ濃厚な滋養のように、私たちのビジネスに確かな芯を作ってくれるはずです。
この候が過ぎれば、暦は「立春」を迎え、また新しい一年のサイクルが始まります。一年の最後を飾るこの数日間、これまで歩んできた道のりを慈しみ、殻の中で育んできた志を信じてみてください。
冬の底で丁寧に温められた皆さんの情熱が、まもなく訪れる立春の光を浴びて、力強く、健やかに羽ばたいていく。そんな清々しい幕開けを、皆さんと共に迎えたいと願うばかりです。

